45年程前に建てられた住宅の改修。片付け、清掃、仕上げの変更を計画のベースとし、優先順位の高かったキッチンの改修を大々的に行うことで、総工費のバランスを図った。

写真右側の収納の場所は、かつて収納壁と建具で仕切られていたが解体し、キッチンとダイニングという形で一体化させた。玄関から入ってすぐのメインとなるダイニングの壁(写真正面)は、左官さんによる漆喰薄塗り仕上。

障子は所謂『吉村障子』に変更し、床の間に新規でクローゼットを挿入。畳の間であったが、ロールカーペット(グリッパー工法)に改修。照明も新規で『乳白ガラス製シェード + 真鍮製ソケット + 真鍮製パイプ + 真鍮製台座』という形で組み合わせた。全体的に、純和風だったテイストをバランス良く崩すことを心掛けた。

玄関扉は以前の改修によりサッシ扉が付けられていたが取り外し、かつて使われていた木枠を再利用しながら、新規で木製開き戸を設置した。

タイルはご要望によりブルーグレーのものを、キッチンワークトップ正面の鏡板は、無垢の杉板を採用。

バスルームは既存タイルの上から新規で50角磁器質タイルを割付た。トイレの壁は、セメントモルタル掻き落とし仕上げ。両部屋とも照明はもともとあったものを磨き直して再利用している。

まだ使える今となっては貴重なデザインの金属製スイッチ・コンセントプレートは、汚れを落として再利用。既存木製建具も、使えるものはすべて掃除によって蘇らせた。

製作した真鍮製ダウンライト。

製作した真鍮製ペンダントライト。経年による天井板のシミや汚れも、掃除をすることで落ち着かせた。

床は3層フローリング板(ホワイトアッシュ)に浸透性ウレタンを塗布することで、自然の風合いを残しつつ表面を保護しています。

廊下は綿素材のロールカーペット(グリッパー工法)を採用。

リネン生地の大判カーテンを通った光が、自然素材の空間の中に溶け込んでいきます。
DATA
COMPLETION : Dec. 2020
LOCATION : Takamatsu, Kagawa, Japan